「ワインツーリズム」の活動がなぜ多くの人達を惹きつけるのか?

通常、クライアントからの発注でこの手の業務に携わっているならば決して口外できませんが、

自発的にボランティアで協力しているので声を大にして言わしてもらいます(笑)。

「私は、プロデューサーという立場で、ワインツーリズムの活動のすべてを企画立案しています。」

このワインツーリズムの活動も私からすれば、ワインで稼がせてもらっているお礼に、
自らが前職で学んだPR、編集、広告などのノウハウを提供している気持ちです。
また、自らの力を試しているという意味もあります。自分の力を発揮したいからやっているのです。

同様に、デザイナーもイラストレーターもみんな自らの力を表現している場なのです。
「地方にいたって出来るんだ!」と声を大にして言いたいのです。
プランニング、デザインなど新たに生み出す仕事は誰かに評価されなければ「次」はありません。
だからこそ、しっかりと見て、評価をしてもらいたいのです。

このようにワインツーリズムという活動自体、皆ほぼボランティアで協力してくれています。
本来、「地域活性化のプロジェクト」として千万単位の予算が組まれてもおかしくはないものを
各分野のプロが自らの力量を発揮する「場」とすることで格安の活動となっています。

そうでもしないと面白い仕事が地方にはなかなか発生しないのです。
このようにして同じ地域でそれぞればらばらに動いていた人たちを、
一つの方向に向けたのがワインツーリズムの活動です。
会社組織ではないので厳密にいえば代表者は存在せず、
各分野をそれぞれが切り盛りしている感覚です。
だからこそ気持ちがよく、多くの人が協力してくれるのです。

活動の集大成ともいえるのが
昨年のイベント「ワインツーリズム2008~五感で楽しむ産地のチカラ~」です。
このイベントの進め方を見れば様々な人のチカラで成り立っていて、
多くの人達が惹き付けられる理由が見えてきます。

まず最初に、このイベントの企画は私が考えました。
でもこのままでは何もおきません。何もはじまりません。
ここから多くの人々の日々のチカラによって現実となるのです。

企画の骨格に肉付けしてくれるのが、
「デザイナー」「web制作」「イラストレーター」など日々その道で生計を立てている人達です。
彼らのスキルなくしては、どんなに優れた企画であっても、人々の心を惹き付けるものは出来ません。

次に「NPO koshuかつぬま文化研究所」「かつぬま朝市」
「フットパスの会」「甲州市役所職員の方々」など
「自らのまちを良くしたいと願い活動していた人々」が、
「単なる企画を現実の企画」に落としこんでくれました。
日々の活動のノウハウを提供してもらい、
はじめてこの地域に来る人にも楽しめるようなコース案を考えてくれました。
地域の人達を巻き込むこともしてくれました。
大変なワイナリーとの調整にも尽力してくれました。
本イベントは地域のためにを掲げていますが、
彼らがいなければ単なる理想で、住民にはまったく関係のないイベントとなる所でした。

こうして「企画に肉付けされ出来た成果」を実行するために様々な調整ごとが発生します。
これを引き受けてくれたのが、「笹本」や「山梨県職員の方々」など
「山梨をよくしたいと考え活動をしていた人々」です。
笹本は各種窓口として実際の交渉ごとのほとんどをこなし、
上記の地元で活動をしていた団体への協力のお願いや、
メンバーへの会議の呼びかけなど地域への営業活動をしてくれました。
また、県や市やワイン協会などに説明し、
潤滑油として、また広報役として獅子奮迅の働きをしてくれました。
県の職員の方々は陰ながら要所要所で笹本をサポートし、本企画実現へと協力を惜しみませんでした。

もちろん各ワイナリーの皆さんもお客様にご紹介してくださったり、
ご案内のメールを送ってくださったりとご協力していただきました。
地域の住民の方々も、ボランティアとして多くの方にご参加いただきました。
(当日は皆さん本当に大変だったと思います。ありがとうございました。)
最後にイベントの主旨を理解して下さった方々が、
当日たくさん足を運んでくださって本当に大きな盛り上がりとなりました。

このようにしてこのイベントは、みんなのチカラで現実に実施されました。
こうしてみてくると本当に多くの人のたくさんの協力で実現したことがよくわかります。

でも、最近チョット心配しています。
「ワインツーリズム」という言葉の持つ力から、最近やや過熱気味で過大評価されている気がします。
だからこそ私たちは、
「ワインツーリズム」の言葉の持つパワーをよく理解して「力」を分散しなければなりません。
そうしないと皆しらけてしまいます。

このイベントは、
誰かを有名にするためのものではありません。
誰かを富ませるためのものでもありません。
今、ワインやブドウや地域の現場で頑張っている人に
ハレの舞台で自信をつけ、誇りを持ってもらうことがこの企画の趣旨です。
だからこそすべての賞賛は日々現場で産地を守る人や、
こうしたイベントを可能にする経験を積んできた人々、
産地を守ってきたワイナリー、農家そして住民のみなさんに向けられるべきであると考えています。

上記のように、
それぞれのノウハウをもちより、
それぞれの経験を持ち寄ってなりたっているワインツーリズムの活動。
“各自がそれぞれの協力分野で評価されなければ、
力を貸してくれている各自の人生を我々が軽く見ている”ということになってしまいます。
“ノウハウや経験は一朝一夕で積み上げられたものではない”からです。

「誰が言った言葉なのか。誰が考えたことなのか。誰がつくったものなのか。」

協力をお願いする我々も、活動を伝える役割の人も注意をしなければなりません。
皆誇りを持って、人生を提供してくれているのです。
もし注意が出来ないのであれば、
我々は相応の金額を支払って業務としてしかこの活動を続けることが出来なくなってしまいます。
また、我々の活動を応援して人々に伝えてくれる方々にもご理解をお願いします。

理想かもしれませんが、
たくさんの人から協力いただいている活動だからこそ、
活動への賞賛は協力してくださっている各分野の方々へとお返ししたいのです。
どうぞご理解よろしくお願いします。

 

セツゲツカLtd. 大木貴之